教材・アクティビティの選び方(先生向け)
レッスンでどういう教材を使ったらいいのか、お悩みの先生はいらっしゃると思います。私もその一人です。
どの教材、プリント、アクティビティを取り入れたら、生徒さんの英語力を伸ばすことができるのかを日々考えている先生方に向けて、一つの基準を共有することができたら嬉しいです。
Restricted materialsとAuthentic materials
Restricted materials(以下「RM」)とは、「制限された教材」
ある特定のレベルの英語学習者さんに向けた教科書やリスニング教材など
Authentic materials(以下「AM」)とは、「本物の教材」
映画やドラマ、新聞や小説など日常にあふれている教材
今この記事を読んでいる方は、どちらの教材を使用したほうがいいと思いますか?
RMの特徴
・初心者さんは英語を学びやすい
・そのレベルで学んでほしい文法や単語が文章や音声に多く含まれている
・リスニングはレベルに合わせて速度が調整されており、聞き取りやすいようにしゃべっている場合がある
AMの特徴
・教科書に載っていない単語や熟語を学ぶことができる
・実生活で英語をインプットする場面を想定した学習をすることができる
・実際の映像や音声なので話す速度が速すぎたり、聞き取りづらい部分があったりするので難しい場合がある
AMの方を優先して使用すべきという意見もあります。
ただ、初級者さんの場合、聞く音声・読む文章によっては話すスピードが速すぎたり、文法や単語が難しすぎたりする可能性もあり、生徒さんのモチベーションが低下することもあります。
逆に、生徒さんがテキストブックの文章・音声だけだと簡単すぎる場合もあると思います。
簡単すぎるというのも、モチベーションが下がってしまう原因になると思います。
それなら教材を選ぶ基準は何かというと・・・
私は生徒さんのレベルを考慮して、RMもしくはAM、またはその両方を用意しています。
当たり前のことだと思われますが、
目の前の生徒さんがいま何ができて何ができないのかを把握し、教材選ぶことが一番大切なことだと感じています。
たとえば・・・
過去形が入った文章を正しく読める生徒さんの場合・・・
教科書に入っている文章よりも、DMM英会話のかんたんなニュース記事や子供向けの英字新聞などを読む練習を取り入れます。
読むことに慣れていない生徒さんの場合・・・
教科書の文章を左から右に意味をとりながら読む練習などを取り入れることで、正しく文章を読むことを目指します。
Restricted outputとAuthentic output
Restricted output(以下「RO」)とは、穴埋めや並び替え、適切な表現を一つ選ぶなどドリル形式の問題
Authentic output(以下「AO」)とは、ロールプレイやディスカッション、手紙を書くなど実際の場面を想定したアウトプット
ROの特徴
・文法や表現の用法や発音、いつ使うかを把握し、正しく使えるようになる
・実際の場面でパッと出てくるようになることが目的ではない
AOの特徴
・実際の場面でスラスラと使えるようにするため
・この文法や表現を使わないといけないというルールはないので自由度は高い分、ROより難易度も高い
生徒さんがはじめて過去形を習う場合、まずはROを多めにレッスンに取り組むことで、正しく使えることを目指したほうがいいと思います。
いきなり「週末に何をしたかについてスピーチをしましょう」というAOのアクティビティを取り入れても、難しく自信を失ってしまう可能性があります。
今回も生徒さんのレベルに合わせて、ROもしくはAO、またはその両方を用意しましょう。
目の前の生徒さんがいま何ができて何ができないのかを把握し、アクティビティを選ぶことが一番大切です
たとえば・・・
過去形を書くことに慣れてきた生徒さんの場合・・・
「昨日したことについて日記を書いてみる」アクティビティを用意します。
まだ難しい場合は・・・
「並び替え」や「動詞をどう変化させるか」のクイズに答えてもらったりした方がいいと思います。
引用
J.Scrivener(2011), Learning Teaching (pp.75~78), Macmillan Education Limited