学校ではあまり教えられていない英語のファンクション
英語のシステムとして、4技能があります。
Productive skills(アウトプットする能力):ライティングとスピーキング
Receptive skills(インプットする能力):リスニングとリーディング
言語体系として、以下のものがあります。
・文法
・語彙
・ファンクション(機能)
・音韻
イメージとしては、言語システムを会得し、4技能を通して情報を得たり、コミュニケーションをとったりすることができます。
言語システムのうち、文法や語彙、音韻は学校や塾で教えられています。
ただ、ファンクション(機能)は抜け落ちている状況です。
今回はファンクション(機能)の説明を共有していきたいと思います。
ファンクションとは
ファンクション(機能):言葉を話したり、書いたりすることで達成したいこと
例)相手に窓を開けてもらいたい、クレームを伝えたい、自分のことを知ってもらいたいetc.
たとえば・・・
Q. Why don’t you change your job?
この文の目的は、「(転職することを)提案をすること」です。
もちろん先生が「Why don’t you?は、~したらどうですか?っていう意味だよ」と教えることもできます。
ただ、「Why don’t you?」が本来の機能として「提案をあらわすこと」が伝わりづらくなってしまうかもしれません。
あともうひとつ、「英語表現→訳語」で教えることで抜け落ちてしまうことがあります。
ファンクション(機能)と適切さ
ファンクション(機能)のなかには、Appropriacy(適切さ)の項目があります。
適切さとは・・・英語表現がその状況のなかで使用されること、その人に対して使用されることが適切かどうか
たとえば・・・
Why don’t you?という表現は、友達や家族に使うことは適切ですが、上司や目上の人に使うことは適切ではありません。
「Why don’ t you?は、~したらどうですか?という意味だよ」と教えると、学習者さんは「どんな状況でも誰に対してもこの表現を使ってもいいだ」と誤解をするかもしれません。
そのため、しっかりとその表現がカジュアルかフォーマルか、どういう状況で使用するかを明確にすると
適切に英語を使用できる人という印象を与えることができます。
つづいてはどのようにレッスンに組み込んでいくかをお話ししていきたいと思います
ファンクションをレッスンに
レッスンテーマを「相手によって適切な提案をすること」とします。
ステップ1
生徒さんにテキストの大枠の内容・具体的な内容を理解してもらいます。
テキストの理解が曖昧ですと、提案する表現を学ぶことにつなげるのが少し難しくなります。
2つの会話文を用意します。
1つは友達同士、もう1つは上司との会話です。
1つ目には、友達・身内に提案する表現を入れます。
Why don’ t you?
You should.
You’d better.
Tom: I find it really difficult to communicate with the students in Class B
Hisako : What happened?
Tom: I sense that they don’t like me.
Hisako: What makes you think so?
Tom: They are always silent.
Hisako: You shouldn’t think about it seriously. Japanese people are generally shy. Why don’t you study Japanese or talk about Manga to get along with the students?
2つ目には、上司など目上の人に提案する表現を入れます。
If I were you, I would.
I would recommend you to.
You might want to.
A: I’m considering changing a job.
B: If I were you, I would sign up for an agency that will help you find a suitable job to you.
A: I see. Have you ever tried that?
B: Yes. I found my current job through that.
A: How do you feel about your work?
B: It’s quite satisfying and rewarding That’s why I would recommend you to use it.
生徒さんにそれぞれの人物が何で困っているか、それに対してどんなアドバイスをしているかを読み取ってもらいます。
ペアやグループで考えて、答えを発表させる形でもいいかもしれません
ステップ2
提案をあらわす表現に下線を引かせるアクティビティをします。
今日のテーマである表現に「気づいてもらう」ためです。
生徒さんがどの文章が提案をあらわすかに気づくのに苦労している場合は、
先生が該当する英文を発音した後で、その文がどこにあるかを探すように伝えます。
「すぐに教える」ではなく「ヒントを与えて答えにたどり着く」ようにレッスンを進めていきます
ステップ3
表現を正しく使えるように練習をしていきます。
「提案をあらわす表現」を紹介し、ドリル練習をします。
たとえば・・・
- 友達にレストランを提案する場合は何て言うかな?
- 上司に2つの案のうち1つを選んでほしいといわれたら何て言うかな?
英作文を行うことで、正しく表現を使うことを目指します。
ステップ4
レッスンの最後には、自由度の高いスピーキングタスクを取り入れます。
そうすることで、実際の状況で表現をスラスラと使えるように練習していきます。
ポイント:実際の状況では「この表現を使わなければいけない」という制約はないので、レッスンで学んでいない表現を使っても大丈夫です。
たとえば・・・
- 友達と旅行の計画を立てる。
- 上司に地元のおすすめの観光地やレストランを教える
ホワイトボードや黒板などに今日学んだフレーズを書いておくと、生徒さんが何を言ったらいいか忘れてしまったときに参考にできます。
どういったらいいかわからない単語はグループやペアのお友達に教えてもらうことで、先生→生徒だけでなく生徒→生徒のコミュニケーションを促すことができます。