文法訳読法の特徴

英語教育現場で批判の的となっている文法訳読法。

英語で書かれた文章を日本語に訳したり、その逆をしたりする勉強法・指導法です。

英語だけでレッスンを進めるダイレクトメソッドとは違い、積極的に日本語を用いて文章や語彙の意味を理解していくスタイルは日本において鉄板の指導法となっています。

日本人英語学習者のスピーキング力が足りないのは、文法訳読法式で教えてきたからだと批判されるようになり、ダイレクトメソッドで教えようとするスクールも増えてきました。

ただ、文法訳読法であれ、ダイレクトメソッドであれ、それぞれのメリット・デメリットがあります。

先生はトレンドに流されずに言語教育における方法論をしっかり理解し、自分のレッスンに組み込むことが大切だと考えています。

今回は文法訳読法についてお話していきたいと思います。

文法や語彙を正確に理解できる

文法訳読法では、その日のレッスンで教える項目(ターゲット・ランゲージ=TL)

その形(現在進行形=be動詞+V ingなど)や用法(現在進行形=今行っていること)を先生が明示します。

その後に生徒さんにTLを含んだ文章を母国語に訳してもらいます。

その訳した文を先生が確認することで生徒さんの理解度をチェックします。

例)I'm eating snacks.

「私はお菓子を食べた」や「食べる」ではなく、「食べています」というように訳せていたら、用途を理解できているなとチェックできます。

またテキストの中にわからない単語がある場合は、「difficult:難しい」という風に母国語とセットで教えます。

もしフランス語やスペイン語など英語に近い言語が母国語の人の場合は、「difficult」という単語を見て意味を推測することができるかもしれません。

ただ、日本語は英語から見て反対に位置する言語です。

初心者の方が「difficult」という単語を初めて見たときに意味を予想することは困難だと思います。

テキスト内にあるひとつひとつの文や単語を日本語でしっかりと理解することで、語彙力や読解力を伸ばす意図もあります。

デメリット

・パッと使えるようにはならない

TLを使って、自分のことや身の回りのことをスピーキングすることは難しいかもしれません。

文法訳読法は、正確性や知識に重点を置いているため、英会話力(すらすらと英語を話す、パッと英語が浮かぶようにする)を伸ばすことは難しいです。

・先生中心のレッスン

先生が「現在進行形とは・・・で、・・・という意味です。じゃぁこの文を訳してみましょう」とレッスンを進めることになります。

生徒さん同士のコミュニケーションやアクティビティは少なく、先生の権限や存在が大きくなりがちです。

・自主性を育むことは難しい

先生中心のレッスンという理由もありますが、文法の規則や用法を明示してもらうため、自分の頭でもしかしたらこんな意味なのではないかと自分の頭で推測する力、自主的に考えることを促すのは難しいです。

まとめ

英語を正しく使うことがレッスンの目的であれば、この文法訳読式をレッスンに取り組むことで効果を発揮するかもしれません。

生徒さんの目標や性格、現在のレベルなどを考慮して、どういうスタイルでレッスンを行うかを選択していきましょう。

参考文献

Larsen-Freeman, D. Anderson, M. 2011. Techniques & Principles in Language Teaching(3rd edn). OXFORD